こんにちは!金融Webライターのおがりょーです。
今回は、「【令和2年からの制度改正も解説!】青色申告と白色申告の違いって何?」というテーマで解説します!
個人事業主の方にとって、確定申告は1つの大きな業務です。
しかし、青色申告や白色申告について意味が良く分からないという方も多いでしょう。
そこで、今回は青色申告と白色申告の概要について解説します。
また、令和2年度からの「青色申告特別控除」と「基礎控除」の制度変更について解説します。
【令和2年からの制度変更】
青色申告特別控除:現行65万円→改正後55万円
基礎控除額:現行38万円→改正後48万円
制度をしっかりと理解すれば、節税効果の恩恵を大きく受けられます。
ぜひこの記事で勉強してくださいね!
青色申告とは?
個人事業主の所得と所得税の申告方法には、「青色申告」と「白色申告」の2つがあります。
その内の「青色申告」とは、正規の記帳方法で所得や所得税などを計算・申告する方法のことです。
青色申告は手続きが煩雑な分、税制面で優遇されます。
少しでも節税したいという個人事業主の方にはおすすめです。
青色申告のメリットは以下の通りです。
青色申告特別控除を受けられる
青色申告だと「青色申告特別控除」という所得控除が受けられます。
最大で65万円の控除を受けられますので、節税したい方にはおすすめです。
令和元年度までは青色申告特別控除額は「65万」と「10万円」の2つのみでした。
しかし、令和2年からは「65万円」「55万円」「10万円」の3つに変更になります。
【令和2年の所得から】青色申告特別控除65万円
青色申告特別控除65万円は、青色申告の中で最大額になります。
65万円の所得控除を受けるには、「55万円の青色申告特別控除」の要件に加えて、以下①、②のいずれか条件を満たす必要があります。
(「55万円の青色申告特別控除」・・・複式簿記で記帳する方法。詳細は後述します)
①e-Taxで電子申告する
e-Tax(イータックス)で確定申告や青色申告決算書などのデータを送信します。
e-Taxの登録には、マイナンバーによる電子証明書の発行や、ICカードリーダー(スマホで対応しているものあり)が必要になります。
②電子帳簿で保存する
電子帳簿とは、その名の通り、帳簿を電子データ化したものです。
使用するには、3ヵ月前に「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書」を、所轄の税務署に申請する必要があります。
原則として、課税期間の途中に電子帳簿の適用を受けることができません。
課税期間前に申請を完了しなければなりません。
ただし、令和2年に限っては、令和2年9月30日までに承認申請書を出し、かつ当期末(12月31日)までに電子帳簿の記録を行えば、65万円の特別控除を受けられます。
「青色申告特別控除55万円の条件クリア」+「①か②のどちらかを満たす」で65万円の控除を受けられます。
今まで通りの65万円の控除を受ける場合には、①と②のどちらかを行うようにしましょう!
【令和2年の所得から】青色申告特別控除55万円
55万円の特別控除を受けるには、複式簿記で記帳して申告する必要があります。
複式簿記とは、借方や貸方を用いて損益計算書(P/L)や貸借対照表(B/S)を作成する方法です。
令和2年の所得分より、以下の①か②のどちらも行わなかった場合、青色申告特別控除が55万円になるので、注意が必要です。
①e-Taxで電子申告する
②電子帳簿で保存する
青色申告特別控除10万円
単式簿記とは、取引を簡略化して記帳するものです。
日付や取引内容、取引額などを記入する程度で、家計簿レベルで申請できます。
ただし、特別控除額は10万円のみで、青色申告の中では最低の控除額となっています。
【令和2年の所得から】基礎控除額が38万円から48万円に
令和2年度の所得より、基礎控除額が38万円→48万円に変更になります(合計所得が2,000万円以下の場合)。
基礎控除とは、所得控除とは違い、納税者に一律に適用されるものです。
純損失の繰り越しと繰り戻しができる
青色申告した場合、当期の純損失を繰り越し、繰り戻しができます。
繰り越しの場合、純損失の額を、以後3年間に渡って各年の所得から差し引けます。
繰り戻しの場合は、純損失の額を、前年の所得から差し引けます。
例えば、今期で100万円の純損失の場合、
・以後3年間に渡って100万円の純損失を繰り越す→翌年度以降の所得税が減る!
・前期に100万円の純損失を繰り戻す→所得税の還付を受けられる!
このように、青色申告によって純損失の繰り越し・繰り戻しができ、節税効果を生むことができます。
青色事業専従者の給与を経費にできる
青色申告では、事業専従者への給与を全額経費にできます。
事業専従者とは生計を共にする配偶者や専属のことで、大抵は妻や夫が事業専従者になるパターンが多いです。
妻や夫への給与を経費にできるので、夫婦で個人事業を始める場合は、夫婦どちらかを事業専従者にするのが良いでしょう。
専従事業者の給与を経費に算入する場合は、青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書を所轄の税務署へ申請する必要があります。
貸倒引当金を全額経費にできる
青色申告では、貸倒引当金の一部を経費にできます。
貸倒引当金とは、債権(売掛金や貸付金など)が取引先の倒産等で回収できなかった時に使用する勘定項目です。
なお、貸倒引当金が必要経費として認められるのは、年末の貸金の帳簿価額合計額の5.5%以下の金額を貸倒引当金勘定へ繰り入れた時です。
白色申告とは?
白色申告とは、原則的な申告方法のことです。
青色申告承認書を出さなければ、自動的に白色申告になります。
青色申告とは違い、申告が簡単になります。
白色申告では、貸借対照表や損益計算書を作成する必要はありません。
白色申告でも、普段から取引の記帳や領収書の保存などは義務付けられています。
ただし、日々の取引ごとに合算した金額を記帳しても良いことになっています。