こんにちは。お金専門WEBライターのおがりょーです。
今回は皆さんは一度は聞いたことがあるであろう「労災」について解説します。
皆さん労災と聞くと何を思い浮かべるでしょう?
「労災使ったことないからよく知らない」
「労災は会社が使いたがらないって聞いたことがある」
恐らくこんなところではないでしょうか。
しかし、労災保険とは皆さんが安心して働くための制度です。
働いている時にけがや入院することになれば、労災はあなたを助けてくれます。
労災について知っておいて損はありません。
是非この機会に労災について勉強しましょう!
労災保険とは?
労災とは、業務上または通勤災害による負傷、疾病、傷害、それに伴う介護または死亡に対して保険が給付される制度のことです。
ちなみに、労災とは「労働災害補償保険」の略です。
労災保険で支払われる条件は以下の通りです。
①業務によってケガや亡くなられた場合
②通勤中に負傷や亡くなられた場合
労災は業務中だけでなく、通勤中に対しても適用されます。
労災保険の仕組み
労災の仕組みは以下のようになっています。
・労災の保険者(運営者のこと)→政府
・労災の窓口→労働基準監督署
・労災の被保険者(対象者のこと)→アルバイト、パートを含む全ての労働者
・労災の保険料負担→全て事業者が負担
中小企業の経営者や1人親方も加入できる
実は労災の被保険者(対象者)には以下のような人は含まれていません。
①中小企業の経営者
②一人親方(建設業などで1人だけで経営しているような人)
③特定作業事業従事者(職業訓練の作業に携わる人など)
④海外に派遣される人
このような方は代わりに「特別加入制度」を使って労災保険に加入することができます。
特別加入制度の詳細については、下のサイトからしおりを入手できます。
「労災保険の特別加入制度」(全国労働保険事務組合連合会)
https://www.rouhoren.or.jp/what/special.html
労働災害補償はどんなものがある?
労災では、業務や通勤中に労働災害に遭った方のために、様々な場面ごとに補償制度が用意されています。
療養補償
労働災害や通勤災害によって負傷、または病気にかかって通院が必要な時、それに関わる費用が保障される制度です。
療養費の請求方法ですが、医療機関が労災保険指定の医療機関か指定外でやり方が変わってきます。
・労災指定の医療機関→医療機関を通じて労働基準監督署宛てに所定の「給付請求書」を提出します。申請が通れば医療費を支払う必要はありません。
・労災指定外の医療機関→一旦療養費を立て替えます。その後直接、所轄の労働基準監督署に「給付請求書」を提出すると給付を受けることができます。
手続きが煩雑になりますので、できれば労災指定の医療機関で受診するのが良いでしょう。
労災指定かそうでないかは、各医療機関のHPで確認できます。
「〇〇病院 労災指定」と調べればすぐに分かります。
また、所轄の労働基準監督署ですが、下の厚労省のHPを見ればすぐに検索することができます。
「全国労働基準監督署の所在案内」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html
休業補償
労働災害や通勤災害によって就業でき給料を受けられなくなった時、その休業期間中に補償を受けられる制度のことです。
給付は労働災害によって出勤できなくなった第4日目以降から支払われます。
休業開始1日目~3日目までは会社が従業員に補償します(1日につき平均賃金の60%)。
休業補償の内容は以下の通りです。
【休業補償の内容】
①休業給付:平均賃金の60%×休業日数
②休業特別支給金:平均賃金の20%×休業日数
※平均賃金とは、直近3ヶ月の給料の総額(ボーナス等を除く)を出勤日数で割った額のこと。
月収30万円の方なら、おおよそ1万円が平均賃金にあたります。
例えば月収30万円の方が2週間休んだとします。
休業補償は第4日目以降から補償されますので、この方は8万円の休業補償を受けることができます。
計算式は以下の通りです。
【休業補償の計算式】
①休業補償:1万円(平均賃金)×60%×10日間(14日-4日)=6万円
②休業特別支給金:1万円(平均賃金)×20%×10日間(14日-4日)=2万円
①+②=8万円
遺族補償給付や介護補償など
療養補償や休業補償の他にも、以下のような労災補償があります。
「遺族給付」:労働災害によって亡くなられた場合、年金や一時金が支払われる
「介護給付」:介護を受けている場合その費用が支払われる
「障害給付」:障害が残った場合、年金や一時金が支払われる
下の厚労省のHPから各補償の内容を確認できます。
「労働基準情報:労災補償」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/pamphlet_faq.html
労働災害が起こった時にすることは?
労災が発生した時は、労働基準監督署宛てに保険給付の請求を行います。
会社が労災保険に加入していますので、会社が請求の申請を行います。
しかし悪質な会社は労働災害を隠して、従業員の健康保険を使って労働災害を隠そうとすることがあります。
これを「労災隠し」と言います。
労使隠しは違法です。
労災隠しを行った会社が書類送検された事例もあります。
会社で労働災害や通勤災害扱いにならない時は、労働基準監督署に相談するがよいでしょう。
労働基準監督署が窓口の「労災保険相談ダイヤル」もあり、電話で相談することもできます。
「労災保険相談ダイヤル」
0570-006031/受付時間9:00~17:00(土日祝日除く)
なぜ会社は労災保険を嫌がるのか
なぜ会社は労働災害を嫌がるのでしょうか。
様々な理由がありますが、おおよそは以下のような理由です。
・労災保険を使うと、行政の処分を受ける可能性がある
・従業員に健康保険を使ってもらうほうが楽
・労災保険を使うと、評価に響くとか、、、(聞いた話によると)
しかし、労災隠しは違法です。
労働災害などに遭った方は、まずは労災保険を使ってもらいように会社に交渉しましょう。
労働災害が起こった時に事業者がすることは?
続いては事業者向けに労働災害が起こった時の対応についてお話しします。
従業員が業務上または通勤上で災害が発生した時は、会社はその補償責任を負う必要があります。
この補償責任は労災保険に加入することでその責任を免れることができます。
労災が発生した時には「労働者死傷病報告」を必ず所轄の労働基準監督署に行う必要があります。
申請書式は「休業期間が4日以上」か「休業期間が4日未満」で変わってきます。
「休業期間が4日以上」の場合の対応について
労働災害が発生してから遅滞なく「労働者死傷病報告(休業4日以上)様式」を所轄の労働基準監督署に提出する必要があります。
こちらの申請用紙はネット上で入力することも可能です(最後は印刷して紙で提出する必要がありますが)。
労働者死傷病報告 入力支援サイト(厚生労働省)
https://www.chohyo-shien.mhlw.go.jp/
「休業期間が4日未満」の場合の対応について
期間ごとに発生した労働災害を取りまとめ、報告しなければなりません。
申請期間は以下の通りです。
【申請期間】
・1~3月分→4月末日までに報告
・4~6月分→7月末日までに報告
・7~9月分→10月末日までに報告
・10~12月分→1月末日までに報告
保険給付の手順
労働災害等による保険給付を受ける場合は、労災補償制度ごとに申請書を所轄の労働基準監督署に提出します。
申請書については下の厚労省のサイトから入手することができます。
「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/rousaihoken06/
労災保険に加入するには?
1人でも従業員を雇用すれば、労災保険に加入する義務があります。
また、労災保険と同時に「雇用保険」に加入する必要があります。
なので、労災保険と雇用保険を組み合わせた「労働保険」として加入することになります。
労働保険=労災保険+雇用保険
労働保険に加入するには、
・保険関係成立届
・概算保険料申告書
の2つの書類を労働基準監督署または公共職業安定所(ハローワーク)に提出します。
雇用保険は別で申請書を提出する必要があります。
その後、その年度分の労働保険料を先に支払います。
支払う労働保険料は以下のように計算されます。
保険適用開始日からその年度末までに全従業員に支払う予定の賃金総額(見込み)×保険料率
賃金総額は見込みで構いません。
一度加入してしまえば、当年度の途中で従業員を雇っても新たに加入する必要はありません。
まとめ
労災保険について分かりやすくお伝えしました。
労災保険について知っておくと、いざという時に役に立ちますので、知ってい損はないでしょう。